「判断」と「決断」

「判断」と「決断」

『特上カバチ!!』という漫画をご存知でしょうか。
広島の行政書士事務所で働く主人公の田村が様々なトラブルに対し法律知識を用いて依頼人を守っていく物語です。
行政書士事務所の所長、大野勇。
大野がとある事情から、幼い交通遺児・ツトムの後見人になります。
妻に悩んでいる様子を問われ、事情を話す大野。
ツトムという幼児の両親が交通事故で亡くなり、唯一の身内だった寝たきりの祖父までもが亡くなった。何かできないか…。もっとできることはないか…。
だが後見人にもなったし、これ以上ツトムにしてあげられることはない…
大野が悩みを打ち明けると、妻はこう言います。

「ウチの養子にしてあげれりぁ、大きくなるまでちゃんと面倒をみてあげられるのに」
「あんたもそうすれば悩まんでもすむんと違う?」

大野は驚き、妻に聞きます。

「…そうか…。そういえばそうだ…。それがあったで」
「お前は、本当にええんかっ!?」
「ええよ」

ニッコリ笑い、答える妻。


「ありがとう!」
「お前はワシには過ぎた嫁じゃっ。ありがとう。ありがとう!!」


あくる日、大野は実の息子にも話をします。
息子にとって養子は弟になるからです。

「実は…。ワシャこのたび5歳の男の子を養子にもらうことにしたんじゃ」
「母さんにはもう話をしてある」
「へぇ…。そうなんじゃ」

と全く驚かない息子。

「でも母さんはなんて言いよった?」
「母さんとしても、あの年で小さな子を育てられるんかと、最初は面食らったんじゃないか?」
「まぁ 二人がええと判断したことなんじゃけぇ。口を挟むつもりはないけどのう」

と息子は大野に話します。

「なぁに 母さんは何も判断しやせんかったわ」
「母さんはただ決断をしたんじゃと思うで…」

と大野が答えます。

「材料が揃えば、判断なんちゅうモンは誰でもできる」
「じゃが、材料のないところで、物事を決める決断というのは、よっぽど肝が太くないとできんで…」

『特上カバチ!!-カバチタレ!2-』

「材料が揃えば、判断なんちゅうモンは誰でもできる」。
「判断」と「決断」の違いが良く分かるシーンです。

そして、「決断」することの難しさも。


「決断」出来ず、迷っている求職者の方がいました。
その方(Bさんとします)は2社面接を受け、1社内定。
その後もっと良い条件と思われる会社が見つかったBさん。

「こっちの会社の方が良いのではないか…」

Bさんは内定を断り、就職活動を継続したいという希望を持ち始めていました。
ですが、せっかく掴んだ内定を断った場合、全部ダメになる可能性もある。
決めかねているうちに、内定企業の返答期限が迫ってきます。

「どうすれば良いだろうか」
悩み、考えすぎて寝れなくなったBさんは、わたしの所に相談に来られたのです。

キャリアバンクのカウンセリングルームに座るなり、それぞれの企業の特徴を話し出すBさん。

「内定が出た企業は、ここが心配なんです」
「これから応募しようとしている企業は、将来こんなキャリアが積めそうです」
「やりがいもある仕事内容なんです」
「でも、せっかく内定が出たのだから、妥協した方が良いのか…」

憔悴した顔をしたBさんは、同じ話を繰り返します。
わたしはBさんの話を聞き続けました。

一通り話を聞いた後、わたしはこう言いました。

「Bさんが今回転職活動を行った目的は何だったのですか?」
「内定企業では、その目的は叶えられないのでしょうか?」

Bさんは、少しビックリした様な顔をして、わたしを見返しました。
目には力が戻っていました。

「どうして転職活動を始めたのかを忘れていました…。」
「転職活動の目的…。そうですね。明日までには、決めます」

そう言って、席を立ち、ご自宅に戻られました。
翌日のお昼、Bさんからわたしの携帯電話に連絡がありました。
Bさんは、「決断」することが出来たのです。

「判断」とは、過去にあった出来事や経験から、決めることです。
「決断」とは、どうなるか分からない未来を、自分自身の意思で決めることです。

転職活動において、「判断」するに足る、十分な「材料が揃う」ことはあり得ません。

「判断」しようとすると、どうすれば良いか分からなくなる。

求人票や採用条件明示書に書かれている事は、業務内容や給与等の条件だけです。
職場にどんな人がいるのか。どんな雰囲気なのか。
上司はどんな人なのか。どんな人が評価されるのか。
業務レベルは高いのか。低いのか。自分に対応出来るものなのか。
この会社の将来性はあるのか。ないのか。
いくらホームページを読み込んでも、口コミサイトを見ても分かりません。
本当にどんな会社なのかは全く分からない。想像することしか出来ません。

今ある仕事。これまで培った経験。一緒に働いてきた同僚との人間関係。
これまでの転職活動の苦労。他にあった筈の選択肢。
そして、これから応募出来た筈の求人企業…。

ひょっとしたら、それらが全部無駄になってしまうかも知れない。
それなのに、「決断」する必要なんてあるのか?
この会社に決めることは正しいことなのか?
決めること自体に、恐怖を感じる。
これは、転職活動を経験する方、誰もが通る道です。

でも、だからこそ、「決断」しなくてはいけないのです。
自分の意思で「決断」することに意味があります。
何故か。
「決断」は、一番情報を持っている人間がやるべきだからです。
どうして転職が必要なのか。何故今の会社ではダメなのか。
自分自身の情報を、一番持っているのは誰か。
転職するかどうかを決めるのは、家族でも友達でもありません。
ましてや、転職エージェントである筈が無い。
自分自身です。
自分自身で「決断」しなければならない。

どうなるか分からない未来。築き上げることが出来るか分からない将来のキャリア。
なりたい自分自身…。
それらを自分の意思で掴み取る。自分自身の未来を作り上げるという覚悟と勇気を持つ。
自分自身の未来がきっと良くなる。
そう信じることは出来ているでしょうか。

あなたが、自分の未来を信じる力を持っていれば、あなたの「決断」はきっと正しい。

あなたは、自分の未来を信じることが出来ていますか?
「決断」する覚悟はありますか?

未来に向かって、踏み出す勇気が出ない時。
考えすぎて、どうすれば良いか分からなくなった時。
そんな時は、わたし達にご相談ください。

多くの人が、転職に恐怖を感じるのは、何かを手にするからではない。
人生で初めて何かを手放すことになるからだ。しかも自分の意思で。
『転職の思考法』北野唯我
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