面接では、志望動機を聞かれます。
「当社に応募された理由を教えてください。」
「何故あなたは当社を選んだのですか。」
ここで、多くの人が失敗します。
「御社は、業界2位で、1位にはない活気があって、今後の将来性もあり…」
「御社の商品には、他社にはない強みがあり…」
「御社は教育体制がしっかりしていて、福利厚生も充実していて…」
「御社のホームページを拝見し、御社の経営理念に共感し…」
全て不合格です。
このような回答をする応募者が、本当にたくさんいます。
面接官は「みんなとおなじこと」を聞いた瞬間に、他の話を聞く気持ちが無くなります。
何故、「みんなとおなじこと」を言ってしまうのか。何故、それが駄目なのか。
面接で話すべきことは、最初から最後まで自分自身の話をしなければならないからです。
企業の話をしてはいけません。
「会社の成長性」ではなく、「自分自身の成長性」を話さなければならない。
「企業の商品力」ではなく、「自分自身の強み」を話さなければならない。
「教育体制」の話も駄目です。仕事への姿勢を疑われますし、 そもそも会社は教育機関ではありません。
経営理念の話も駄目。
経営理念と志望動機が一致しているからと言って、有利になると思いますか? 有利になりません。
そんな志望動機を話す人は、いくらでもいるのです。
会社を過度に持ち上げる必要は無い。
むしろ、「みんなとおなじこと」を言ってしまったことによって、印象が悪くなるのです。
それでは、志望動機とは何を話せば良いのでしょうか?
そもそも、企業は志望動機で何を確認したいのでしょうか?
企業が確認したいこと、それは、
「当社を選んだ貴方はどういう人なのですか」
「貴方はどういう人だから当社に応募されたのですか」
「貴方は当社でどんな仕事をしたいと考えているのですか」
ということです。
つまり、志望動機というのは、貴方の自己紹介の一部なのです。
志望動機で悩んだら、自己紹介に戻る。
就職活動における原則です。
自己紹介で皆と同じことを言う人はいません。
志望動機も同じです。
貴方だけの志望動機を探し出し、見つける為の努力と工夫が必要です。
それには、自己紹介を考え直すことが大事なのです。
自己紹介を考え直すこと。
それは、今まで貴方が仕事を通じて培ってきたものは何かということです。
貴方の未来を切り開くためのヒントは、過去の仕事の中にあります。
貴方が仕事を通じて成長したこと。身に着けたスキル。
仕事をすることで得られるやりがい。
それは何でしょうか?
次の仕事で貴方は何を成し遂げたいのでしょうか?
未来はいつだって過去とつながっています。
過去の自分の経験を大切に出来ない人に、未来を切り開くことはできない。
過去の延長線上にしか未来はない。
必ずしも素晴らしいと思える経験でなくても良いです。
失敗や挫折。勇気が出なくて挑戦出来なかったこと。後悔していること。
それだって大切な貴方だけの経験です。貴方だけが体験した財産です。
失敗したからこそ、後悔しているからこそ、次は成功出来ると信じている。
そんな気持ちや感情だって立派な志望動機です。
「おとな」というタイトルの小学生の詩と、それに対する河合隼雄のコメントを引用します。
だれか人がくると
ぼくを見て
「大きくなりはったね」
「もう何年生です」
「こんど三年生」
「そう早いもんね、こないだ一年生やと思っていたのに」
といってあたまをなでてくれる
おとなは
みんなおなじことをいう
この最後の二行がすごい。おとなは子どもに優しくしたり、「対話」をしたりしたつもりでいる。
しかし、こどもは、みんな「おなじことをいう」と明言しているのだ。
われわれが入院している御老人などを見舞いに行ったときも、「みんなおなじこと」を言っていないだろうか。
「お元気そうね」「頑張って元気になってね」などと。
このわたしが、このあなたにしか言えない言葉、そんなのをひとつでも探し出して、語りかける努力をしたいものである。
『「老いる」とはどういうことか』講談社α文庫
「このわたしが、このあなたにしか言えない言葉。」
面接時に応募者が必要としているものです。
貴方にしか言えない言葉。
私たちにそれを一緒に探すお手伝いをさせていただければ嬉しいです。