面接のポイント⑦ ~失敗・困難について~
カウンセリングの中で、回答に詰まる方が多い質問は「失敗の経験について話して下さい」「今までの仕事の中で最も苦労した場面はどこですか?」といった苦労や困難についての質問です。面接の中でも企業からされることの多い質問ですが、回答のイメージや方針について考察していきましょう。
失敗や困難を乗り越えたエピソード
企業は選考者の経験や適性を判断する上で、失敗事例や苦労してきたことを面接で聞くことがあります。意図としては失敗の要因を分析し同じことを繰り返さないように注力しているのかといった観点や、失敗から何かを学んで経験として昇華しているか、困難に直面してどのような姿勢で取り組んだかといった部分を確認するためといえます。
転職をしたとしても苦労や困難、失敗は付き物といえますが、その都度目の前の事象から逃げ出すような人材を積極的に採用したいという考えを持つ企業は決して多くないでしょう。質問からストレス体制や業務に対する意欲といった部分を判断されている企業もあり、重要な質問の一つともいえます。
なぜ回答できないのか?
重要な質問であるにも関わらず回答できる方があまり多くない背景には、失敗等について話すことによって自分の評価が下がるという解釈をされているからではないかと考えられます。面接を自己PRの場と考えている方は、自分の良い部分である経験や強みについて話すことを目的と考えていらっしゃるかもしれません。しかしながら就業経験のある方は仕事を通じて少なからず失敗や困難な場面を経験されていると思います。そのため自分自身を客観的に見てどの部分が弱みであったかや、失敗をしてきた要点は何であるかを把握しているかどうかについて企業としては把握したいという意図がございます。
失敗や困難について話すことで自分の評価が下がるという解釈は正しくありません。むしろ「失敗はしていない」と自分を大きく見せることや、失敗や困難から逃げ出した印象を持たれること、他責にて説明し成長がみられないと解釈されることが評価の下方修正に繋がってしまうことを意識しましょう。
回答に大切なことは
論理性を持った回答
失敗には原因と考えられる部分があります。外部環境や人的要因、自分の性格や偶発性など様々な要因が考えられますが、自分なりに失敗や困難な場面についての分析をしましょう。回答に論理性を持たせ、面接官に原因の理解をしてもらうことが第一歩です。
そこから学んだこと
要因の分析を済ませた後に、その失敗や困難から学んだ事例と現在の自分に活かされている部分を説明しましょう。重要なことは「失敗や困難から学んだ教訓」です。不注意から起きた失敗に関してはそれ以降に注意深く行動するようになった背景が伝わりますし、異国間取引での損失に関しては文化や考え方の多様性を学んだきっかけが伝わります。失敗や困難とは自分自身の成長の糧であったということが説明できるように準備しましょう。
強みと弱みの根拠になる
強みと弱みについて説明する際に、失敗からの教訓や困難に対する姿勢は論理的な根拠になります。自分自身の意見を押し付けて相手に不快な思いをさせた失敗から、相手の考えや意見を尊重することの大切さを学んだことは弱みを改善するための要因と説明できますし、粘り強く諦めない性格から困難に立ち向かって克服したエピソードは次部の強みをより詳細に説明することに繋がります。
最後に
失敗や困難に直面した場面を「点」でみてしまうとネガティブな印象になってしまうと解釈されてしまいますが、しっかりと「線」のエピソードにすると説得力のある説明材料になります。失敗をしたことがない人はこの世にいません。自分自身を冷静に分析し、客観的な視点で説明できるように準備しましょう。