転職コラム

訪問看護に転職したい!仕事内容やメリット・デメリットを解説

訪問看護の特徴とは

患者さんより業務が優先される病棟勤務の仕事方針に、疑問を感じている方も多いのではないでしょうか。
訪問看護なら、利用者さん一人ひとりの状態に合わせた看護を提供できます。
ここでは、訪問看護の特徴と利用者さんとのかかわり方についてお伝えしていきます。

一人の利用者さんと向き合える

訪問看護の現場で、利用者さんと向き合えたことを体感した事例を紹介します。
排便コントロールが必要な利用者さんに対して、座薬を入れるだけではなく、コミュニケーションを取りながら効果が出るまで口腔ケアや洗面の介助を行いました。
しばらく経ってからゆっくり腹部マッサージをして、できるだけ摘便をせずに自然に出せるように促しました。
摘便をする時間をできるだけ減らすことで利用者さんの負担も軽くなります。
摘便に声をかけながらケアしたことにより、利用者さんの羞恥心や看護師に対する「申し訳ない気持ち」が薄れたようで、笑いながらケアを受けてくれました、と看護師さんは嬉しそうに体験を語りました。
このように、訪問看護では一人ひとりに合わせた看護ができるのが特徴です。

自宅で過ごしたいという思いに寄り添える

「入院しても誰にも会えない」「最期は家で迎えたい」「家に誰かが来てくれるのが嬉しい」
これらは訪問看護中に、利用者さんとの会話でよく聞く言葉です。
ある看護師さんの訪問先でのエンゼルケアをご紹介します。
エンゼルケアとは、亡くなった利用者さんまたは患者さんに対し看護師が体を拭いたり着替えたりすることをいいます。
そこで、ご自宅で最期を迎えた利用者さんに対して、最後に何を着てもらいたいかとご家族と相談すると「お祭りのハッピを着せたい」とご希望されました。
エンゼルケアをしたときには、まだご家族は別れを受け入れていない状態でした。
しかし、訪問看護師が体を拭き、ハッピを着たことで、ご家族が笑顔になり「死」を受け入れられたように見えました。
お祭りはご家族の楽しい思い出が詰まったイベントであり、元気だった頃のように旅立ってほしいとの願いから、ハッピを選んだのだそうです。
病院のエンゼルケアでは、ご家族に自宅からパジャマや服を持参してもらうこともできますが、病院側で用意した和式寝衣に着替えるケースが少なくありません。
「最期の時に何もできなかった」「何かしてあげられることはあったのではないだろうか」といった後悔から、なかなか別れを受け入れられないご家族もいるのです。
今回ご紹介したケースでは、ご家族にエンゼルケアに加わっていただくことで、お見送りに対する心の準備を一緒に行うことができました。
自宅で過ごしたい利用者さんの気持ちに寄り添いながら、ご家族との時間も大切にできるのは訪問看護ならではの魅力の一つと言えるでしょう。

入院を未然に防ぐための看護ができる

利用者さんの健康状態の管理は、訪問看護の重要な業務の一つです。
訪問介護では褥瘡予防や寝たきり防止などのケアも念頭に入れて、ご家族と連携したサポートを行います。これにより利用者さんの健康を保ち、入院を未然に防ぎます。
訪問看護は「できるだけ入院したくない」といった利用者さんの思いに寄り添いながら、入院を未然に防ぐ看護を提供できるのが魅力といえるでしょう。

訪問看護へ転職して経験した仕事

訪問看護ステーションでは、病棟勤務時代には経験したことのない業務があります。 そこで、実際の事例と共に、訪問看護ならではの仕事について説明します。

オンコール対応

オンコール対応は、定期的な訪問以外にも体調の変化があった場合に利用者さんが訪問看護師に連絡し、必要であれば緊急訪問をしてもらえる仕組みです。
これは、担当者が専用の携帯電話を持ち帰って自宅待機をするのが一般的です。
ある看護師さんは、利用者さんから嘔吐や腹痛などの異常があると報告を受け緊急訪問をしたことがありました。
バイタルサイン測定や症状の観察を行った結果、危険な状態であると判断し救急搬送となり一命を取り留めた経験がありました。
オンコール対応の件数はステーションによって違いはありますが、現在のところは月に2〜3件ほどの電話連絡と、2ヶ月に1回ほどの緊急訪問をおこなっています。
オンコール対応での電話と思っていたら「明日はあなたが来てくれるの?」「今日は問題なく過ごしましたよ」などの報告をしてくださる利用者さんもいらっしゃいました。
利用者さんからの温かい言葉に励まされ、安心してもらえるのもオンコールならではの魅力です。

月末の報告書作成

訪問看護を行うためには、利用者さんの主治医からの指示書が必要です。主病名や主治医の指示が記載されている指示書を元に看護を行います。
医師の指示を受けて看護を提供するのは、病棟勤務との共通点です。
しかし、病棟勤務と違うのは月末の報告書作成が必要となることです。
報告書には、自宅での生活はどうだったか、バイタルサインの変動はなかったか、ご家族との関係性や変化はなかったかなどを記載します。
この報告書のおかげで、利用者さんの日常生活がわかり、効果的な治療ができるようになります。
ある看護師さんは、実際に主治医から「自宅の状況が見えてよく看護につなげてくれている」といわれた経験がありました。
報告書によって主治医の治療が活かせていると、利用者さんのためになっていると感じて嬉しかったそうです。

家族やケアマネとの連携

病棟と訪問看護における大きな違いは、環境と物品です。病棟では患者さんのベットとの間隔に余裕があり、移動しやすい環境にあります。
一方、ご自宅では介護ベッドなどを設置する余裕があるとは限りません。また、利用者さんの自宅に揃っていない物品もあります。
そのため、訪問時に体温計や血圧計、アルコール綿、ディスポグローブ、ガーゼなど、処置に必要なものは持っていかなければなりません。
そのほかにも、お尻拭きやアロママッサージオイル、メジャー、爪切りなどの爪ケアグッズを訪問バッグに入れている訪問看護師さんもいます。
重たい訪問バッグを見た利用者さんから、「こんなに重いの持ち歩いてるの?」と驚かれるケースも少なくありません。

訪問看護のメリット

ここでは訪問看護仕事のメリットについて、実際の事例を交えて紹介していきます。

夜勤をしなくていい

訪問看護の一番のメリットは、夜勤がないことです。ここで、ある訪問看護師さんの体験談をご紹介します。
夜勤をすると生活リズムが崩れ、夜に食事を取ったり睡眠時間が短くなったりするため体調を崩してしまうことがありました。
「これからは夜勤がない仕事がしたい」と思ったのもあり、夜勤のない訪問看護の道を選びました。
夜勤に行かなくてはならないストレスがなくなったため、体調は回復し、元気に働けるようになりました。
夜勤がなく、体調管理しやすい点は訪問看護のメリットといえるでしょう。

直行直帰ができる

通常、事務所や会社に寄って準備をしてから訪問先へ行くとなると、訪問時間に加えて移動時間が必要となるでしょう。
しかし、訪問看護では、会社や事務所に寄る余計な時間が省ける直行直帰ができます。
直行直帰とは、会社や事務所に寄らずに直接訪問先へ向かい、利用者宅に訪問後、そのまま帰宅する勤務形態です。
訪問先にもよりますが、利用者宅が自宅近くであれば、通勤の負担が少なく済みます。
直行直帰が可能であれば、自分の時間を持ちやすくなり、ワークライフバランスを保ちやすくなるでしょう。

訪問看護のデメリット

訪問看護の仕事には、メリットだけでなくデメリットもあります。
そこで、ここでは訪問看護のデメリットについて、詳しくお伝えします。
デメリットを補う対策も紹介しますので、訪問看護への転職にお役立てください。

夜勤手当てが付かない

先述した通り、夜勤をしないのがメリットでもありますが、夜勤手当が付かないデメリットもあります。
しかし、訪問看護では、オンコール対応をすると「オンコール手当」がもらえます。
このオンコール手当がつくため、病棟勤務と比較しても給料が大きく減額することは少ないので安心してください。

最新の医療や看護の情報が少ない

病院に勤務していると院内研修が多いため、最新の医療や看護の情報が入ってきやすいです。
しかし、訪問看護ではステーション内での研修が少なく、医師の治療や手術の補佐に入る機会がほとんどありません。
そのため、最新の医療・看護の情報は入りにくい環境にあります。
訪問看護で最新の医療や看護の情報を入手するには、自分で外部の研修を受けに行ったり、勉強会に参加するなどの行動が必要となります。
訪問看護ステーションによっては、資格取得のための支援を行なっている事業所もありますので、積極的に利用してみましょう。

訪問看護への転職はメリットが多い

医療機関から訪問看護ステーションへの転職は、ハードルが高いと感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実際にインタビューをした看護師さんからも「転職の際に不安がなかったわけではない」といった言葉がありました。
しかし、病院に勤務していた頃は患者さん一人一人と向き合う時間が取れず「もう少し早く気づいていたら、ここまで悪くならなかった」と後悔する出来事が何度もあったそうです。
訪問看護では利用者さんやご家族と密に関われるため、問題点や必要な支援が見えやすくなります。
利用者さんがその方らしく暮らせるように看護・サポートができるのは、訪問看護ならではの魅力です。
利用者さん一人ひとりと向き合える訪問看護に興味がある方は、ぜひこの機会に訪問看護への転職を検討してはいかがでしょうか。

Q1:訪問看護ステーションでは看護師なら誰でも働けますか?
A1:はい。働けます。ステーションによっては訪問看護未経験の看護師や、ブランクのある看護師も積極的に採用しています。

Q2:いきなり一人で訪問先に行くのですか?
A2:いいえ。必ず先輩看護師と訪問し、経験を積んでからひとり立ちとなります。手技に不安がある場合には、しっかりとフォローしてもらえるステーションを選ぶようにしましょう。

この記事を書いた人

井川 恭子いがわ やすこ

大学卒業後、損保事務センター・BPOセンターにてスーパーバイザーに従事。採用企業側として、書類選考・面接選考を行った経験をいかしてキャリアバンクに入社。

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